美しい日本の私

昨日はレイニー・サンデイでしたので、散策はあきらめ、
兵庫県立美術館へ行きました。
「アドルフ・ヴェルフリ展」です。
その内容については最後に、、、



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「ワールドエンド・ガーデン」のtwitterより


帰りに阪急「王子公園」近くの
古書店「ワールドエンド・ガーデン」に立ち寄りました。

「ワールドエンド・ガーデン」、このお店の名前だけで、
想像力がトップギアに回転してしまいます。
店舗の雰囲気も
いわゆる古本屋さん的かび臭さはまったくなく、
オシャレなのです。

昨日も入ったとたん、
ゆるゆるのフォークロックのようなJのミュージシャンの音楽が流されていて、
今を生きる若い古本屋さんの風を
五感に感じました。

「見るだけ」と思って入っても、
本棚を見ていると、読んでみたい本のタイトルが
私を誘惑します。

「どう、読んでみぃ〜」

読むべき本を数冊かかえているので、
重みになるからなぁ〜、、、

と思いつつ、すぐに読めそうで、
深そうな本に手をだしてしまっていました。

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あの文豪・川端康成の

ノーベル賞授与の際(1968年)
に本人が講演した

「美しい日本の私」です。

英語訳も私には無駄についています。笑
「Japan The Beautiful And Myself」

川端康成氏がノーベル賞をとったというニュースは

小学生高学年だった私にも

大きな偉業として、日本中が騒いでいるニュースとして

すごく記憶に残っています。


そして講演のタイトル

「美しい日本の私」も脳の奥にしっかり刻まれていました。


これ不思議な日本語ですよね。

美しいは日本にかかっていますが、

「日本」の「私」って?

日本が語っているのか?

日本と私は同義と言い切っている態度の表明ですか?


気になる言い方に違いないですね。



川端康成の言葉に次のようなものがあります。

川端は、相次ぐ友人たちの死と自身の半生を振り返りつつ、

『私は戦後の自分の命を余生とし、余生は自分のものではなく、
日本の美の伝統のあらはれであるといふ風に思つて不自然を感じない』

と語ったといいます。wiki


自分の存在が=「日本の伝統のあらわれ」

すごい認識だと思います。


確かに私たちは、戦後生まれ、携帯、パソコン時代をへた上でも

やはり、伝統のあらわれでしょう。


しかし、日本の伝統の美を、

意識して、それを知り、学び、そのこころを会得し味わう

ようにして生きているかによって、

伝統のあらわれ方の濃淡の違いがあるように思います。


この本で川端がいう美しい日本(の「こころ」)というのは
自然豊かな日本の山川草木の森羅万象から
はぐくまれた「こころ」を言っていますが、

はたして私達はこの日本の自然からはぐくまれた伝統「美や哲学」
を受け継いでいるかといえば
はなはだこころもとない。


川端が生きた時代から半世紀もすぎ、
ますます伝統は隅っこに追いやられていくようです。


この「美しい日本の私」は「その序説」となっていて、
40ページ程のものですが、
1度読んだだけでは、深く理解できなかったので、

もう、数回読んでみようと思っています。







さて兵庫県立美術館の「アドルフ・ヴェルフリ展」
ですが、

アドルフ・ヴェルフリは19世紀末から20世紀前半を生きた人ですが、
その生のほとんどを精神病院で過ごしたスイス人です。

なので
精神に混乱を生じた人の「絵」と「文章」を見ることになります。

しかし、アドルフ・ヴェルフリが有名になったのは、
その尋常ではない創作の量だと言えます。
およそ人は生きている間に
これだけのことが量として出来るのか、、、
まず、そこにあります。

そして描かれた絵はどうか?

私は展示作品を見て
最終的にこれは美術か?という問い持たざるをえませんでした。

絵をして見ると、彼にしか描けない
世界観が顕在されていて、
すごいな〜とは思いましたが、
共鳴できるものはあまりありませんでした。

超現実主義者(シュールレアリスト)たちが
彼を評価したのがヴェルフリの名声を生みました。


アウトサイダー・アートと呼ばれて、
社会的弱者などと言われている人たち、
(精神や身体に障害を持った人たち)の表現に光が当てられる時代になっていますから、
ヴェルフリの絵も、こうして日本の公立の美術館で
展覧会が開かれるのです。


ヴェルフリの絵を
あまり美術のことに明るくない人にはお勧めできませんが、

「表現」というものを人間レベルで考える人には
是非と言いたいような内容の展覧会でした。


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by hamaremix | 2017-02-06 11:06 | 文学 | Comments(0)