美しすぎる天使

「美しい」、いや「美しすぎる」絵画を紹介しましょう。

19世紀のフランスと言えば、印象派の絵画がすぐに思いだされますが、
印象派が登場する前にはフランス絵画の伝統的な絵を描く画家によって
アカデミックな世界が権威として存在していました。

ダビッドやアングルの新古典主義の流れがそれです。

この場合の古典というのは、
古代ギリシャ・ローマの美のことで、
あの石彫に象徴される理想的な人間美を追求するとしたものです。

テーマも聖書やギリシャ神話を基に絵を描くことでした。
まさにヨーロッパの古典です。

ですが、19世紀はキリスト教の信仰心から
ヨーロッパ人が徐々に解放され、
生身の人間社会や無垢な自然に芸術家の関心がいくようになって、
リアリズムな絵画が始めて西洋の歴史上に登場してきます。

そんな歴史的な流れのなかで、新しい眼によって世界を表現したのが、
印象派ということになるのですが、

今では、その印象派の革新的な表現と
多くの優れた画家とその作品が残されているので、
その時代の、アカデミックな画家達の作品は
あまり大きく取り上げられることはありません。

ですが、
その新古典主義の流れにあった画家たち、
彼らは印象派の画家達が旧態としてるとして批判された画家達ですが、
彼らの絵には
大変素晴らしいものがあります。


その代表的な2人の画家から紹介しましょう。

ひとりは
アレクサンドル・カバネル(1823-1889)です。

「ヴィーナスの誕生」1863年
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まさに古典的テーマの絵ですが、いかがですか?

空に浮かぶ天使は
絵に描いたようなww古典的表現です。
が、、
空や海、そして横たわるヴィーナスはかなり現実的な表現で描かれています。

このヴィーナスはリアルな裸婦そのものではないか?
人間すぎる、また官能的すぎて、当時もその点でバッシングされたそうです。
「これはヴィーナスではなく溺死した娼婦ではないか」
などど揶揄されたそうです。

今の私たちから見れば、
現実と理想の狭間にあって不思議な魅力をもっている絵だと思うのですが。


そのカバネルが天使を描いた絵があります。

これです。

「堕天使」
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そして新古典主義の流れのもうひとりの画家は
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー(1825-1905)です。

彼はカバネル同様、サロンの画家の権威でした。

ブーグローが描いた天使。
上手すぎるし、美しすぎます。

「cupidon」1875年
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そしてそして、

新古典主義の天使像で最も有名なものが
この絵ではないでしょうか?


究極の絵画 18
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー「アモールとプシュケ/子どもたち」
1998年 個人蔵


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この絵はポストカードやいろんなデザインに使われていて、
現代人に最も愛されている古典絵画の天使像ではないでしょうか。

その出典はこんなところにありました。





















究極の絵画18
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー「アモールとプシュケ/子どもたち」
1998 個人蔵

by hamaremix | 2014-08-07 20:13 | アート | Comments(4)

Commented by yuurakuotozaemon at 2014-08-07 21:41
ブーグローの天使はロリコンやね・・
翼が小さすぎ、夢がなさ過ぎ
Commented by hamaremix at 2014-08-07 22:26
それは19世紀にはもはや天使に夢をみるのが困難になった時代だからでしょう。半人半天使の哀しい姿かもしれませんが、私はちょいと縁があって好きなんです。
Commented by IZUMI at 2014-08-08 21:20 x
ベニスに死すの美少年が裸になったみたいでドキドキしました。勉強になりました。
Commented by hamaremix at 2014-08-09 21:39
IZUMIくん、なるほど美少年繋がりですね。今の私たちにも天使と同じようなロマンを持てる存在(非存在)って何かあるかなぁ?
あっ、あ、ありますよね。