人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

浜本隆司ブログ オーロラ・ドライブ

hammererix.exblog.jp

浜本隆司のブログ

シュールな内戦の予感

シュールやなぁ」というのは、
「変な感じ」「ちょっと常識を超えた感覚」「気持ち悪いけどいい」
みたいな感じで日本語化していますが、

シュール」というのは正しくは
「リアリズム(現実主義)」に「シュー(超)」というの頭にが付いた
シュールレアリズム」というのが語源です。

訳して「超現実主義」と日本では呼ばれています。

主の芸術の表現方法を指して使われてきました。



では、この場合の超えるべき現実(リアル)とは?

「意識」のことです。

人間の脳の活動から生まれる「意識」というのは

世界をとっても整合性をもって捉えようとしますよね。

また、日常生活においてちゃんと生きていくには

社会のルールや倫理をなど、言わばヒトが作ったルールを守って

行動しますよね。


大体、朝起きて、社会生活を営むには、

しっかりと「意識」を働かせて、どんなことにも

言わば理性的に活動しているわけです。


人間が人間らしくあるのはこの「意識」がしっかり働いているからです。


で、この「意識」に対抗するのが「無意識」というものです。


無意識」は「深層心理」とかって呼ばれますが、

心理学者のジクムント・フロイトが

100数年前に世界で初めて人間には「無意識」の領域があると言い出しました。


「人間は『意識』によって活動しているが

その奥の『無意識』という深層心理領域がある」

という、とっても分りやすいことを意識して(笑)私達に

教えてくれたのです。



では、その「無意識」=「深層心理」とはどんなものでしょう?

それは、「夢」であるとか、「本能」であるとか、

「意識」では制御しきれない、

ぐつぐつとした、人間の内面に潜む整理されないものを溜め込んだ

領域といっていいでしょう。


フロイトは主に「性の衝動」にスポットを当てて

この領域のことを語ったそうですが、

無意識下にある普段は「意識」によって押さえ込まれている

「性の衝動」こそが、人間の言動の源になっている

ということを言ったのです。


図式的に言うと

「意識」=「理性」、「無意識」=「本能」

ということでしょうか。



その考え方によって、「無意識」の領域を芸術面で

開拓していった人達のことを「シュールレアリスト(超現実主義者)」といい、

その芸術の流れを「シュールレアリズム(超現実主義)」と呼ぶようになりました。


彼らが表現しようとしたのは、

人間の「無意識」下や「深層心理」の領域です。

一番、分りやすいのが「夢」です。


「夢」は全く意識の制御を受けていません、

起きているときは、押さえ込まれて、ブラックボックスに溜まっている

さまざまな「感情」「衝動」「本能」が

眠ることで「意識」から解放されて、暴走しているのが「夢」です。



そんな「夢」、あるいは「意識」を取り除いて覗いてみる「夢」的世界を

表現したのがシュールの画家達です。

なので、シュールな絵を「理性的」に「意味」を理解しようとしても無理です。


混沌とした「無意識」の領域を混沌としてそのまま、

受け入れるところから始めなくてはいけません。


「なにこれ?わけわからん」

といって、はねつけてしまうし人はには、

芸術の門は閉ざされて、中に入って行くことはできません。




前置きが長くなってしまいましたが、

今日はスペインのシュールレアリズムの画家

サルバドール・ダリの絵を紹介します。




究極の絵画5

サルバドール・ダリ 「ゆでたインゲン豆のある柔らかい構造:内戦の予感」1936

シュールな内戦の予感_d0218056_9413112.jpg



とっても有名な絵です。
私も小学校の教科書で初めて見ました。

分けが分らなかったのですが、小さい眼差しには衝撃が走ったのは事実でした。

小学生にとっては「意識」も「無意識」もなにもありません、

ただただ、この絵のインパクトの凄さに圧倒されたのですね。


ダリは、「無意識」の領域を絵にしましたが、

絵の技術は「超絶技巧」です。


人体のリアリズム的質感表現、抜けるような空と遠近感の2次元表現。

それに裏打ちされたデフォルメされた人体表現。



何か分らないけれど、「矛盾」、「葛藤」、「怒り」というものを

強烈に表していることは間違いありません。

その感情は子供にでも伝わるのですね。

また、しっかり「エロス」も含まれています。



この絵は「内戦の予感」というサブタイトルが付けられていて、

1936年のスペインの内戦を予感したダリが、

それを人間的な葛藤として描いた一面もあるそうです。


同じ国民が国を思ってお互いに殺しあうという、

大きな矛盾と葛藤の絵。


でも、現代からこれを見る者はひとりの人間の葛藤がどれほど

苦しく激しいものであるかを、見ることになりますね。


「人間的な、あまりにも人間的な」

という言葉が浮かびました。

by hamaremix | 2013-05-03 10:09 | アート | Comments(2)
Commented at 2013-05-04 19:44
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hamaremix at 2013-05-07 13:25
こうゆうのは、喋って伝えようとしても、全然上手くいかないのに、書くと喋るより大分ましな気がします。自分でも☆☆☆
遊楽さんのいう通り確かに日本は変革期でしょうね。

by hamaremix