黒いニットのセーター
ここ2〜3年の絵画「フェニックス」のシリーズが
メインになるのですが、
その前の
「ひかる瞬間」と「不確かな旅の記憶」のシリーズも並べて
私の絵画がどのような過程を経て
今に至るかを見てもらうことになります。
その一番最初の作品は2005年にギャラリー白での
グループ展「春の座」に出品した、
「不確かな旅のイメージ」です。
私が古着屋で購入したニットのセーターの柄を
絵のモチーフとして描き始めました。
私のそのセーターは
海外から流れてきた古着です。
「この服はどのような時空の旅をへて私の元にやってきたのか?」
描きたい同機になったのはそこです。
そのセーターの模様と
私の記憶による風景を重ねあわせて画面を作りました。
セーターの模様を正確に写し取りたかったので、
気に入った模様の部分をスキャナーに写し取り、
編み目を数えて図案化したものを下描きにしました。
作品のベースが黒と白なのは
セーターがこの色だったからです。
セーターの模様は誰かのデザインで私のオリジナルではありませんが、
私なりの服の描写という気持ちで、
どうなるやらととってもワクワクした気持ちで
キャンバスに描写していきました。
見たこともない絵のビジョンを視覚化していく過程は
とっても創造力を刺激する行為でした。
この絵のアプローチでは、
記憶の風景がセーター柄の前にきていますが、
その後の作品ではセーター柄の後ろに風景がくることになります。
今、久しぶりに自分でもこの作品を見ましたが、
前に風景を描くのも楽しそうだなぁと思う。
風景には針葉樹を描いているので、
全体のイメージはとっても北欧的です。
以前から私の作品は「北欧の人の作品みたい」とよく言われましたが、
この作品になってからはもっと言われました。笑
この作品は絵の新しい構造を模索していたので、
もう一枚も同じように実験的ですね。
それがこれ。
「天気読み」という作品です。
台風の目を描いています。
何故ここに台風の目を描いたのかはもう忘れてしまいました。
多分、平面的な絵なので、
セーター柄の規則性を打ち破るようなものを
入れたかったんだと思います。
矛盾する2つのものをもってくるのは、
結構好きです。
2次元上で化学反応が起こってる!と思ってしまうのです。
グループ展「春の座」にはもうもう一枚
「不確かな旅のイメージ」とうい作品を出しました。
そこで構築したスタイルが自分の中で納得のいくものだったので、
その後3年位同じシステムで「不確かな旅の記憶」シリーズとして
何枚も描くことになりました。
こうゆうと不思議がられるのですが、
自分では自画像のような作品だと思っていました。
外面のセーター柄と内面の心の風景だからです。
模様を奥に色々書いたものを作ろうと思ってたのに!!!笑
絵の発想(イメージ)は突然やってきます。でもピンとくるものと、あまりそうでないものがあるので、ちょっとの時間、発想をあたためてから描くかどうか決めるようにしています。
発想の段階で面白いと思っても描いてみるとそうでもないことがあるとがっかりするので、、、、