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浜本隆司ブログ オーロラ・ドライブ

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浜本隆司のブログ

月の輪グマ

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棟方志功「狐狼の柵/流離妙板画柵」 〈 絵カレンダー2〉
「夕ざれば狩場明神あらはれむ山深うして犬の聲する」





ツキノワグマを映像で捉えた映像をみた。

ツキノワグマは四国と本州に棲息しているのですが、
警戒感の強い生き物で、滅多のカメラなどの捉えられないそうです。

しかし、ある老年のカメラマンが冬眠時以外は
関東の奥深い森に入ってづっとツキノワグマが現れそうなところで
カメラをかまえて、
ツキノワグマの生態をとらえた貴重な映像をものにされた。
奇跡的な映像。

NHKの番組だったのですが、NHKはその老カメラマンの映像を使って
ツキノワグマの映像を公開していました。


ある母クマと2匹の小熊をずっと追い続けた映像が続きました。

小熊がの兄弟が木にのぼって、ジャレあうほほ笑ましい姿。

母熊が岩を押し上げて、アリを食べたりするのですが、
母熊が押しのけた岩が下にいた小熊にあたり、
小熊が崖を転げ落ちる瞬間の映像。
小熊は無事母にもとに帰るのですが、、

さらに衝撃的な場面も写されていました。

小熊が見知らぬオスのツキノワグマの殺されてしまう瞬間です。

ツキノワグマのオスは、子育て中のメスとの交尾を求めるために、
そのメスの子供を殺してしまうのです。
母性本能がはたらいている間はメスは発情しないからです。

なんという習性でしょう、、、

同種の子供を殺すことなど、種の保存に反しているのではないでしょうか?

ショックでした。

人間みたいじゃないですか、、、
めんどくさい他人のガキは殺してしまうみたいなことって。



ツキノワグマは日本列島で最大の大きさを持つ哺乳類です。

あんな大きな生き物が、本州の山のなか生きて生活しているのを想像すると、
なんだか静かに熱い気持ちがわき起こってきます。

狸や狐、猿たちも、山にいますが、
人間社会と近い所にいる感覚ですが、
ツキノワグマはちょっと違った感覚で思ってしまいます。

絶滅したニホンオオカミにあった、
猛々しさというものともに「カミがかった生きもの」という捉え方が
(私たちの歴史のなかにあったものが、)
ツキノワグマにはまだ残っているからではないでしょうか?
なにせ胸に月の輪を抱いているんですから!


ある軍事評論家(面白い方ですが)がある番組で、
動物生態学者の方に
「熊がいて人間社会の何のためになるんですか?」

という、発言をされていてビックリしましたが、

こうゆう人間中心の考え方が
人間のためにならない動物、それは多くの動物にいえるこかもしれませんが、
を絶滅に追いやってきたんだなと思いました。

どうぶつは人間の為に存在しているのではありません。

人間と同じく「いきとしいけるもの」なのです。




少し前に「棟方志功展」で、じっくりと棟方志功の作品を味わってきました。

実はよく知っていたつもりでも実際の作品とちゃんと対峙したことは
なかったと思ったので、ちゃんと対面してこようと思って見てきました。
一番最初に展示されていた大きい板画(版画)に接して、
「あっ、あたたかい」と感じました。

宮沢賢治、斉藤真一、と同様の
北国の作家が持つ、人を思う赤いあたたかさ、寒く暗い環境性、
そして宗教観があるように思いました。




棟方志功(1903-1975)は、岡本かの子、谷崎潤一郎、宮沢賢治など、
文学者の詩句をモチーフとした作品を、数多く制作しています。 それら
の作品では、棟方が詩句からうけた感動がそのままに表現されています。

「流離抄板画柵」には、吉井勇の歌集「流離抄」から吉井自身が選んだ
歌31首がしるされています。 「流離抄」は、吉井が1945(昭和20)年
に富山県八尾に疎開したときによんだ詩をあつめた歌集です。

棟方も同じころ富山県福光に疎開していました。 そのため棟方には共通の
感慨があったらしく、詩を大声でうたいながら制作したといわれています。

この「孤狼の柵」には、「夕ざれば狩場明神あらはれむ山深うして犬の聲
する」の詩句がきざまれています。
作品全体には、紙の裏から彩色がほどこされています。





by hamaremix | 2017-01-18 10:46 | 絵カレンダー | Comments(0)

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