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浜本隆司ブログ オーロラ・ドライブ

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浜本隆司のブログ

吉原治良の◯

吉原治良の◯_d0218056_9181150.jpg


これは絵画です。

◯を描いた、いや、表現した絵画です。

◯と言いましたが、「丸」かもしれません、「円」を描いたとも言えます。

いや、「輪っか」かもしれませんし、「和」を表現したのかもしれません。


しかし大事なことは、書道ではなく絵画であるということです。


これは
世界的に有名な芸術運動のアーティスト集団
「具体美術協会」の主宰、吉原治良(よしはらじりょう)の
作品です。

具体美術協会(GUTAI)は戦前から活躍していた前衛画家・吉原治良を中心に
1954年に兵庫県芦屋市で結成した団体。

具体美術協会の制作概念は簡単明瞭で
「人の真似をするな」「人が今までやらなかったことをやれ」
ということでした。

絵画においては元永定正の絵の具が入ったペンキ缶をキャンバスにぶちまけたて
その痕跡絵画にしたものや、
白髪一夫のキャンバスを床に置き、天上からぶら下げたロープに身体を支え、
足で絵を描いた行為がとっても有名ですが、

その発表形態も独自に考え出されたものだったようです。

1962年、中之島にあった吉原治良の所有する土蔵(現在の阪神高速中之島入口の南向かいの場所)を改造して具体美術協会の本拠となるギャラリー「グタイピナコテカ」を開き、会員たちの個展を
開いていた。
また機関紙「具体」の発行、芦屋川河畔での野外展、東京(草月会館)および関西での
「具体展」、梅田のサンケイホールなど舞台での発表やデパートの屋上でのアドバルーン展など、
型破りで新鮮な活動をめざましく展開していった。

吉原治良の◯_d0218056_9193967.jpg


具体美術協会が芸術として展開したことは、
「既成概念を疑ってみること、」
「制度を壊すこと」することによって
「新しい表現の地平を開拓」することだったのですが、

まさに「反」の時代を象徴する芸術運動だったのですね。

そこには伝統的な精神など、かえりみられることはなかったように
思われるのですが、
今思うに私には、とってもアニミズム的なところに向かう
精神の萌芽があったように思います。


そんな実験的手法(掟破り)を会と芸術として、
世に問うた主宰・吉原治良が
行きついた世界がこの
◯の作品だったようです。

この作品こそ、
そのアニミズム的不安定状態が自然と和(輪)をなし
こころの安定をもたらすに至った、
具体美術の結末も含まれていたように思います。


究極の絵画8
吉原治良


吉原治良の◯_d0218056_9183979.jpg


大きな和
大和(やまと)とでも名付けたくなる究極の絵画ではないでしょうか。

by hamaremix | 2013-08-23 09:22 | アート | Comments(0)

by hamaremix